2022年01月13日
看護師プラス保育士


初めて会った時は伊那北高校の3年生だった。
大学進学を目指して家庭教師を依頼してくれた。
「受けたい学部とか大学はあるのかな?」
「○○大学で臨床検査技師になりたいんです 」
「凄いね。臨床検査技師ってどんな仕事?」
「病院で、、色々検査とか、、」
彼女はそこまで話して言葉につまった。
お互いに何故か笑ってしまった。
「その位は俺でも知ってるけど、もうちょっと調べてないのかな?」
「病院で働きたくて、臨床検査技師って格好いいかな?」
実はこの会話の始めには彼女の名前が入っている。
「ひでき、感激!」みたいな感じだ。
茶髪で化粧をしている。
それまでに会った伊那北の生徒とは違う雰囲気だ。
部活は中高と吹奏楽で、そこは賢そうだ。
「臨床検査技師って、大切で素晴らしい仕事だと思う。でもそんなに明るいのを生かして看護師になってくれたら入院患者は嬉しいと思うよ。」
「じゃあそれで、、」
「え?そんなに簡単に変えたら駄目だよ。ラーメンを注文してるみたいじゃん。」
「先生が勧めてくれたじゃないですか?」
看護師になるための学部を目指しての勉強が始まった。
6月になったある日。
「○○わぁ、昨日で部活を辞めました。」
○○には自分の名前。
「もう引退したの?」
「途中で辞めたんです。」
「伊那北の女子ってめんどくさい人が多くで、
嫌になっちゃった。」
「マジ?もうちょっと我慢したら引退やろ?」
「辞めるって話たら、友達に泣かれて、、」
「そういう所がめんどくさいんです。」
リーダー格の彼女を取り巻く生徒は多く、
彼女を味方に引き入れようとねちっこく近づいて来てめんどくさいらしい。
赤中の授業参観に参加した日だった。
私の携帯電話が鳴った。
電源を切るのを忘れていた。
呼び出し音は幼い頃の下の息子の声で、
「電話だよー、電話だよー、」
教室に響いてしまった。
慌てて廊下へ行き電話に出るとその彼女だった。
「先生、2時からですよ。来てくれないんですか?」
彼女の声が赤中の廊下で響いてしまった。
「ごめん、忘れてた。直ぐに行く、」
ヒソヒソ声でそう言って、彼女の家に行った。
しばらく勉強をしてふと予定を確認すると、
予定は次の日だった。
「後輩達に○○の声が響いていたわ。」
テレビでチャイルドスペシャリストという資格を持つ女性を紹介していた。
産まれてからずっと病院で暮らさなくてはいけない子供たちのための、看護師と保育士と両方の仕事を合わせた様な役割りをするらしい。
日本では資格は取れなくて、アメリカで勉強をして、取得をしてこども病院で勤務していた。
そんな話しを彼女にすると、
「じゃあ、それで、、」
また、私が方向転換をさせてしまった。
いよいよ、入試本番。
5人程度の枠に60人程が受験したらしい。
「絶対にだめでした。何も話せなかったです。」
受験から戻ってきた彼女はそう言った。
緊張のあまり、あれほど練習した面接が上手く出来なかったのかと思った。
「面接官が吉田先生みたいな人で、話が盛り上がっちゃって、しばらくは笑いながらお喋りをして、それで終わりです。」
「準備した事は何も話せなかったです。」
「それって受かってるやろ。大学の先生は楽しくて仕事を忘れて喋ってしまったんちゃうか?
続きは大学に来てね、やろ?」
彼女はもちろんその大学で学び、東京の子ども病院で働いている。
私には出来ない素晴らしい仕事をして、沢山の子どもや親に沢山の笑顔を届けているだろう。
コロナ禍でどれ程大変だろう。
実家は私の家の近くなので、帰省したらいつでも遊びにおいで、、
立派な看護師で大人の女性になった今も「○○わぁ〜」って話してくれるかな?
Posted by sawch at 07:15│Comments(0)
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