2022年01月18日
御堂筋線の朝のホームにて

大阪市営地下鉄の中央線を本町駅で乗り換えて御堂筋線で通勤していた時期があった。
朝の本町駅は人で溢れていた。
ベルトコンベアで運ばれて来たかの様に次々と人がホームに降りてくる。
みんな無言だ。
サラリーマンが目立つが、OLと呼ばれた女性会社員もいる。高校生もいる。
みんな黒っぽい服装で、黙ったまま硬い表情で、降りてくる。
電車がやって来ると沢山の人が降りてきて、沢山の人が乗り込んで行く。
電車が出て行くと、すぐに次の電車の到着を知らせるアナウンスが流れてくる。
長いホームのいつもの場所まで着くと長い地下鉄が目の前で扉を開ける。
そのためなのか、走ったり、慌てたりする人は少なく、淡々とうつむいたまま、やや暗い表情で固く口を閉じた人が降りてきて、そして電車に乗り込んで行く。
眩しい光を帯びた電車が、やって来てすぐに暗闇に消えて行く。その繰り返しがずっと続く。
電車が消えて行ったほんの僅かな時間だけに沈黙が訪れる。そして冷たい風が吹き抜ける。
私もその電車の中で暗闇に消えて行くうちの一人だった。
電車の中は重苦しい。寿司詰め状態で、黙って窓の外に消え行くホームを眺めている。
ホームには何も無い。
ベンチがあり、そこには下を向いたサラリーマンが座っている。
毎日の様にそうしたサラリーマンがいる。
多分同じ人では無い。
いつも違う誰かがそこに座っている。
きっと会社に行きたくない、行けないのだろう。
電車内の人の視線はその人に集まる。
そしてさらに重苦しくなる。
ベンチの人の気持ちが痛い程理解出来て、
自分も明日はそこに座っているかも知れないと思っているのだろう。
ふと横を向くと知らない人と目が合う。
そして目をそらして、黙って暗闇の窓の外を見る。
Posted by sawch at 08:58│Comments(0)
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