2024年02月16日
ある天才の今の立ち位置

かつて私の生徒には天才と呼ばれる生徒がいた。
中1で漢検の準二級を取り、テストは学年一位、伊那北理数科でも上位だったので周りがそう呼ぶのはわかる。
しかし本人も親御さんもそして私もそうは思ってない。
中1の頃に学校で少しいじめられていた。
「ケンカの練習をするか」とボクシングの様な格好をする私の方には目もくれずに言った。
「そういうのは苦手なんです」
どうすればいじめられないかを考えた。
まだ親には知られたくないがもっとやばくなれば知らせる事を約束してくれた。
その上で考えた。
勉強で見返そうと考えて漢検を取ることにした。
中1なら五級かなと思っていたらはるかに上の級を選んだ。
めちゃくちゃ頑張った。ノート2冊が漢字でいっぱいになった。意味の解らない単語は私に質問してそれを丁寧に書き込んだ。
一発で合格したら学校の先生が漢検ブームを作り私の生徒は天才扱いをされた。いじめもなくなった。
中3では通信ゲームにハマった。
親や祖母を悩ませた。
時々酷い点数を取った。
それでも理数科には受かった。
高校でも常に上位だったのは吉田先生に勉強の仕方を教えてもらったからだと言ってくれた。
しっかり大人になってくれたと嬉しかった。
大学受験は失敗だった。
普通の大学なら受かるのにさらに上を目指して何年も浪人した。
何とか大学に入ると大学院まて行った。
それを終えたらそれなりの年齢になっていた。
研究者にはなれなくて研究の仕事に就いた。
上手く行かない。
頭がガチガチな人ではなくてユーモアや挨拶が出来るちゃんとした人だが、学生時代が長すぎたのか。
今は家で悶々としているのかも知れない。
私は一緒に酒を飲んでやる事は出来ない。
酒が飲めない。
その能力を世界の為に使う様に自分で何とかして欲しい。
自分の力で飯を食うって簡単じゃない
Posted by sawch at 10:01│Comments(0)
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