2024年11月08日
生徒の将来を適当に決めてしまった

「大学の学科を決める為に聞くんだけど、将来就きたい職業はあるの?」
「臨床検査技師になりたいんです」
「それってどんな事をするの?」
「病院で検査とか、、」
「それくらいなら俺でもわかるよ。もう少し詳しく教えて」
「他はわかりません。」
「俺もよくわからないけど君のその明るさや社交性を活かして看護師になったらきっと患者さんは癒されるよ。」
「じゃそれでお願いします。」
「え?食堂のメニューじゃないんだからそんな簡単に変えるの?」
「先生が看護師が向いてるって言ったじゃないですか?」
高3の女子生徒との初回面談でこの様な会話をして彼女は看護学科を受ける事になった。
「俺は適当に言っただけだから自分でもっと調べたら?」
と言っても
「一応調べてます」
と言うだけで看護学科志望は変えない。
2か月くらい経って私はテレビの特集番組を見た。
「チャイルドスペシャリスト」という資格がアメリカにはあって看護師でありながら保育士の役割もする仕事らしい。
こども病院等で医師や看護師と患者である幼い子どもやその親とを結ぶ仕事だそうだ。
その事を彼女に伝えたら、「それを目指します」と即決してしまった。
日本にはその資格はないので看護師として小児病棟で働く事を目指して大学で学ぶというのだ。
彼女はその仕事に就き今では10年が過ぎた。
どれだけ沢山の子どもや親に感謝されただろう。
どれだけ辛い場面を経験しただろう。
私に出来ない仕事をしてくれる生徒は大いなる誇りだ。
唯一申し訳ない事がある。
「結婚しないでキャリアウーマンを続けるそうです」と笑いながら言った母親の言葉だ。
私がそんな仕事を勧めた為に大事なお嬢様が結婚しないなんて誠に申し訳ありません。
Posted by sawch at 11:19│Comments(0)
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