2023年02月11日
4000年前の少女

ロンドンにブリティッシュミュージアムがある。
出張で行くと必ずここに立ち寄った。
何時間いても飽きないほど色んなものがあった。
教科書に出てくるロゼッタストーンやマグナカルタからビートルズの楽譜もあった。
ある時閉館近くの時間になった。
広い館内には人が少なくなった。
ミイラが沢山収められた広い部屋に入った。
生きているのは自分だけだった。
沢山の大昔に亡くなった人達がいた。
17歳の少女のミイラがあった。
目は窪んでいてほぼガイコツと言えるが腿からお尻にかけては皮や筋肉までが残っていてどこか艶かしかった。
何せ17歳だ。
窪んだ目がじっと見つめている。
周りには沢山のミイラ。
どこか行ってはいけない世界に連れて行かれるかも知れないと思った。
微かに髪が残っていたと思う。
遥か遠いアフリカの地で遥かむかしに亡くなったのにどうしてこんなところで俺に見られているのか?
まだ17歳なのに裸で。
気の毒な気がした。
窓の無い部屋だったと思うが急に夕陽が差して来た様に感じて慌てて外へ出た。
Posted by sawch at 21:03│Comments(0)
│昔の話