2022年01月10日
同級生との奇跡の再会

昔昔出張でベルリンへ行った時の事です。
私はドイツでの任期を終えようとしていた。
仕事を後任の社員に引き継いでいた。
ベルリンもその一つだった。
ベルリンでの数日間の仕事を終えて、
駅に向かっていた。
引き継ぎが終わると一抹の寂しさを感じた。
ベルリンの壁の崩壊直後に壁に行った事や、
お世話になったお客様の事などをボーッと考えていた。
バスは中央駅に近づくと渋滞であまり動かなくなった。
中央駅から空港へ行くがまだ時間はあるのでゆっくりと進むバスは感傷に浸るには都合が良かった。
同じドイツでも東ドイツと一つになったばかりのベルリンは独特の雰囲気だった。
古い東ドイツの車や、戦争で崩されたまま残る教会が見える。
駅へ向かう人の中に日本人の女性が歩いているのが見えた。
珍しい事でもなく、それも風景の中の一つでしかなかった。
駅に着いたあとコインロッカーに預けた荷物を出していた。
「すいません」
突然日本語で話しかけられた。
バスから見えた日本人の女性だ。
「2マルクに両替をして頂けませんか?」
「いいですよ」
財布から小銭を出した瞬間、
「吉田君?」
そう言われて驚いた。
「高校の同級生の○○です。」
確かに見覚えのある顔だ。
「おー!久しぶり!何してるん?」
彼女は高校の同級生だったがおとなしい生徒で、
親しかった記憶はない。
それでもここで会うなんて奇跡だわ。
「私はダンスをやっていて、ヨーロッパに勉強に来てるの。パリやロンドンに行って、ベルリンでもダンスを見たりしてたの。」
旅行と言えば旅行の様だ。
「で?2マルクは何するん?」
コインロッカーには5マルク、2マルク、1マルクの絵が書いてあった。
それらのどれでも使えますよという意味だった。
彼女はそれらを一枚ずつ全部入れるものだと思ったらしい。
説明して上げて一緒に笑った。
後輩も笑った。
「それにしても偶然やな。」
お茶でも飲めば良かったが彼女は鉄道の時間が迫っていた。
後輩がいなければもうちょっと何かを企んだかな?